コラム 海外の制度

子ども4人で所得税がゼロに。ハンガリーの「産むほど税金が消える」制度

ブダペストの国会議事堂とドナウ川

世界の変わった給付金制度、第2回はハンガリーです。

第1回のフィンランドが「育児箱」というモノの支援だったのに対して、ハンガリーはもっと直接的です。

なんと、一定の条件を満たしたお母さんは、所得税を払わなくてよくなります。

子ども4人で、所得税が一生ゼロ

ハンガリーの所得税は、所得にかかわらず一律15%です。

ところが2020年1月から、子どもを4人以上育てた(または育てている)母親は、この所得税が全額免除されるようになりました。所得税そのものを全額免除する、思い切った制度です。

「一生ゼロ」になるには、家族手当の対象期間が通算12年に達することが条件です。4人目が生まれた月から免除が始まり、条件を満たせば子どもが成人した後も、定年までずっと続きます。

金額にすると、どれくらいでしょう。ハンガリーの平均的な年収は約846万フォリント(OECD調べ、2025年)で、所得税はその15%、約127万フォリントです。

日本円にすると約53万円(1フォリント=約0.42円で計算)。毎年これが丸ごと浮く計算になります。

対象はどんどん広がっています

この制度、始まったあとも拡大を続けています。

2023年からは、30歳未満で出産した母親も所得税が免除されるようになりました。

2025年10月からは、子ども3人の母親も年齢を問わず対象になりました。

さらに子ども2人の母親も、2026年の「40歳未満」から段階的に対象が広がり、2029年には全員が免除の対象になる予定です。

もはや「4人産んだ人だけの特例」ではなく、母親の多くが所得税を払わない国になりつつあります。

借金まで消える「ベビーローン」

ハンガリーには、もうひとつ強烈な制度があります。2019年に始まった「ババヴァーロー(赤ちゃん待ちローン)」です。

結婚した夫婦が最大1,100万フォリント(約460万円)まで無利子で借りられ、使い道は自由です。

そして、子どもが生まれるごとに返済が軽くなっていきます。

1人目が生まれると、無利子が確定し、返済が3年間止まります。2人目で残りの借金の30%が免除され、3人目が生まれると、残額が全額なくなります。

つまり、3人目が生まれると、その時点で残っている借入残高の全額が返済不要になる仕組みです。2024年末までに約23万組の夫婦が利用したと報じられています。

ただし、5年以内に子どもが生まれなかった場合は、免除されていた利子をさかのぼって払う必要があります。

注意点もあります

免除されるのは給料などの「働いて得た所得」だけで、株の配当や家賃収入などは対象外です。

また、所得税がゼロでも社会保険料(18.5%)はかかります。「税金が全部タダ」ではありません。

ベビーローンは結婚した夫婦だけが対象で、国の財政負担の大きさを心配する声もあります。

日本だったら?

日本の子育て支援にも、育児休業中の社会保険料が免除されるなど、「取るのをやめる」仕組みはあります。

ただ、所得税そのものを母親の人数に応じて全額免除するような大胆さは、日本には見られないところです。

どちらが良いかは一概に言えませんが、「産むほど税金が消える」という分かりやすさは、日本の制度づくりにも参考になる部分がありそうです。

出典・参考リンク

金額の円換算は2026年11月時点の概算です(1フォリント=約0.42円で計算)。制度の内容は2026年11月時点の情報に基づきます。

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